もう2月ですが、あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。
馬の年ってうれしいですね。干支の動物だいたい好きなんですが(猿だけはちょっと怖い)。
考えてみれば馬ほど人間に都合が良すぎる動物もなかなかいないですよね。命令を理解できる程度に頭が良くて、上に乗って何千キロも移動させてくれるって。馬が人類にくれた恩恵を、人類はちゃんと返せてますか?いや、返せてない。今年くらいは馬に感謝したい。
初詣に伊勢神宮に行ってきました。大阪から車で2時間半くらいかかるんですが、なんかこう、元日くらいパワフルな神社にいきたいじゃないですか。
あと三重はトンテキがおいしいんですよ!これはもっと知られていいことです。
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| 干支の土鈴を購入。デブすぎる。かわいい。 |
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【よかったもの(の一部)紹介コーナー】
●ワンバトルアフターアナザー
ようやく配信でみました。面白すぎる…
情けない役やってるディカプリオが本当に好きなんですよね。なんか、眉毛が下がってるのがいちばん似合うと思う。ワンハリでもよかったなー。特に実生活では全然落ちぶれてないのに、落ちぶれた中年の役がなんでこんなにマッチしてるんだろう。
あと、ショーン・ペン演じる変態軍人がとにかく怖すぎる!……だけど、どことなく哀愁がただよってなぜか嫌いになりきれない。思想も最悪なのに。一見単純そうでこの複雑な人物造形がたまりませんね。
ほかにも、一本の映画にひとりいいキャラがいたら十分すぎるのに、それが10人くらい平気ででてくる奇跡みたいな作品です。地味にひじょーに好きなのは殺し屋のアバンティーQです。まず顔が好き。それこそ彼の内面の葛藤だけで1本映画が取れるくらいのポテンシャル。
あと全編通して映像のつなぎ方が超かっこいい。言葉で説明するのが難しいですが。とにかく観たことのないつなぎ方や省略の仕方やカメラワーク。うーん、かっこいい。ラストのカーチェイスのところ、映画館で観たかったなー。自分の地元ではすごい勢いで公開終了しちゃったんですよね。じぶんは ポール・トーマス・アンダーソン作品は『マグノリア』と『ザ・マスター』を8年前くらいに観たっきりで、その時はなんかあんまり合わない監督かも……とおもってて、それ以来は新作が出てもスルーしてたんですが…本作を機に 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 とか『リコリス・ピザ』とか観たら、超絶面白かったです。昔より映画を観た本数も多くなったからようやく気づけた気がするけど、他には出せない痺れる演出があまりにも多すぎる。技のデパートだ!
そしてあとから知ったんですが本作、原作がトマス・ピンチョンなんですね。ピンチョンといえばもう何回挫折したか数えるのをやめたくらい冒頭10数ページで挫折してるんですが、いましがた架空の知人からも「グレッグ・イーガンみたいになんかよくわからないなりに読んだら慣れてきて面白いっすよ」というアドバイスを受けたので、なんかそろそろ読めるような気がしてきた。読むぞ!何度も言いますが、ハンターハンターの王位継承編より難しいフィクションなんて存在しないので、どうにかなるはず。
ワンバトルアフターアナザー、世界でいちばんおもしろい映画です。みんなも観よう!
●ウリッコ
よかったです。今年はじめて漫画で泣きました。
主人公に都合が良くないことが起き続けるようなタメの期間が長い作品って、いまどきの漫画(とくにWEB系)だとかなりリスキーな道のりだと思うけど、それでもやっぱり長く暗いトンネルの先にある感情の発露って最高に美しいですよね。こんなかっこいい主人公なかなかいないよ。みんなとりあえずぜひ14話まで一気に読んでください!
おもしろい芥川賞受賞作ってこういう感じの読み味ですよね。世界は良くない場所だけどそれでもオレの思考や美学には価値がある気がするし、だれにも奪わせやしないぜ……みたいな感じ。 大好きです。
●type help
そもそもですが、絵も何もはいっていない、純粋なテキストオンリーのアドベンチャーゲームを、日本語で遊べるということ自体がかなり貴重な体験なんですよね!
英語圏ではコンピューター黎明期である1970年代から続く、テキストオンリーのアドベンチャーゲームとして「ゾーク系」と呼ばれる作品群があります。これはプレイヤーが自分でキャラクターの行動をキーボードで入力してゲームを進めていくというやつです。(考えてみたら黎明期からいきなりすごいシステムですよね。ふつうコマンド選択式のアドベンチャーが先に開発されるべきだろうと思うけど、なぜかそれはだいぶ後のことになります)。
ただ、この手のジャンル、日本では全然根付かなかったんです。どうも日本語に翻訳すると自由入力との相性がプログラム的によくなかったとか。いちおう移植もあるにはあったみたいですが、色んな意味で快適とはいえなかったようで。言語の壁のせいでジャンルごと輸入できなかったというのはなかなか珍しい事例なんじゃないでしょうか。
その一方で、海外の小説とかを読んでいると時々このゾーク系テキストアドベンチャーが言及されるんですよね。「古き良きゲーム」とか「なつかしいね~、あれはよかったね~」みたいに。は??なんだそれ?おれやってないんスけど?ずるい!!やってみたいよー……みたいな悶々とした気持ちが溜まっていたのですが……
このたび、『type help』をプレイし終わって、もしかして……テキストオンリーのゲームの感覚って ……これか!?となりました。
画像が一切ない状態で、脳内でなんとかイメージを立ち上げてうなりながら少しずつ、作中の光景が「見えてくる」感じが、あ~~~アアー……ヒーッ…!!あ、そういう事!?
キャーーー!!!!!!!!ウッ……キ……気持チイイ……
もちろん、『type help』はいわゆるゾーク系とは文脈がかなり違うものなんです。ミステリー作品なので、作品内に意図的なミスリードも含まれていますし。むしろその巧妙なシナリオのツイストあってこその魅力でしょう。
でも、「古き良きジャンル」として語られてきたテキストオンリー作品の魅力、つまり「イラストが一切ないことが、ゲーム体験としてむしろプラスに働く」という感覚を、ようやく自分も体感できた気がして、かなりありがたかったです。
こんな風にしてフォロワー作品から原典となった作品のエッセンスを楽しめるという大変ありがたいバトンパス、しばしばありますよね。個人的にすごく良かったので、このジャンルが盛り上がってくれたらうれしーですね! テキストアドベンチャー大好き!
●光るだけしかない機械
『ファミレスを享受せよ』などを制作した月刊湿地帯(おいし水さん)のテキストアドベンチャーゲームです。
無料だし(ありがとうございます)1時間くらいで終わるのでこれを読んでるみなさんもぜひやってみてください。何も知らないでやるのがいちばん気持ちいいので……
→https://oissisui.itch.io/glowmachine
type helpが面白かったね~って言ってた直後に、まったく別の文脈でまた別のテキストオンリーのアドベンチャーが遊べてしまうなんて。しかもこんな高品質な。
ありそうで見たことない極限までシンプルなシステムと、作中でのコミュニケーションが成立するまでの丁寧な導線に感心し、そうか、こんなやり方があるのか…と思ったのも束の間、相変わらずの語り口の巧さに乗せられてラストまで一気に連れて行かれました。間に挿入されるエピソードの質感が気持ちいい。大きな物語の論理に回収されないような、極めて個人的な身の上語りっていいものですよねぇ。作中人物と友達になれたような気がして。
月刊湿地帯作品はいつも一見してシニカルなルックのようで根底に流れているヒューマニズムがグツグツと熱いのが大好きです。氷床の下にマグマが流れてる。そういうのって自分が海外文学を好きな理由のエッセンスがそのまま詰まっている感じです。いつもおもしろいゲームを作ってくれて本当にありがとうございます……。
それにしてもtype helpでも思ったし、小説読んでる時も思うんですが、テキストオンリーの物語というのは、いまどこにいるのか、喋っている相手が誰なのかというような5W1Hに関わる情報の開示が強い報酬として作用するのが気持ちいいですよね。映像メディアでは自明のものとして開示されるような世界の条件そのものが、ミステリー的な手札として機能するというか。認知の根本を不在にして、その不安をフックにして物語を進められる!言ってしまえば、文章を読み進めていくという行為がそもそも探偵的な作業といえるんですよね。そしてその過程では自分の先入観が裏切られたり、認知が根底から揺さぶられたり……。テキストで展開される物語というのは、本質的に叙述それ自体に常に翻弄される喜びというものがある。叙述トリックというようなものはそれの一形態に過ぎないんじゃないかと。そして、そうした企みに主体的にも参加させてくれるゲームというのは、メディアとしてなかなか最高の形式なんじゃないでしょうか。
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今月はここまで。
漫画関連で色々仕込んでいるので、まだとうぶん先になりそうだけど。
はやく告知できたらうれしーですね。
わんこそば・アフター・アナザー って絶対に誰か言ってるだろと思ったら誰も言ってないっぽい。
西!

