2025/10/08

2025年10月

 



秋ですね~
9月はあんまりなにもない1ヶ月でしたね。
いろいろ漫画のことすすめているので、また放てたらいいですね。







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作業中に足の裏がさみしいので、足ツボを刺激できるやつほしいな~と思ってamazonで探していました。
 
もっとも条件に合いそうなやつ…選ばれたのは、これです。
 
 
 
 
 
 

 
 
え!?



実家すぎる!!
 


もちろんビジュアルを知った上で買ったけど、実物を見ると、余計に……



実家ってここから始まっていくのか?
 
 
 





本当は、下端の「ピンポイント刺激用」の部分が欲しかっただけなんです。
ゴルフボールが半分埋まった凸型をしている。これを使って、好きなところをグニグニと刺激できる。
高校生のころ、通ってた塾の自習室の机の下にこういう謎の金属の突起があったんですよね。靴を脱いでずーっとそこを踏んで気持ちよくなっていた記憶があります。久しぶりにやったけど、やっぱり気持ちいい……

デメリット。あんまり1日じゅう強く圧迫を続けると、眠気が吹き飛んでしまう。目がバキバキに冴えて、まったく眠れなくなります。交感神経のギアがオーバートップに。副交感神経が活性化されて眠れるようになるとか言うけど、事実は逆!なんで?強く押しすぎてる?危険なので使わない時にはしまっておくことにしました。このピーキーさ、ドラえもんのひみつ道具なんだよな。1000円くらいで死ぬまで使えるからお得ではあります。エナジードリンクを捨てろ、カフェインと決別しろ、アルギニンを駆逐せよ、ただひたすら、足の裏を押せ!骨粉になるまで。









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●よかったもの(の一部)のコーナー



◼️『いまファンタジーにできること』
アーシュラ・K・ル=グウィンによる、ファンタジーというジャンルに関連するエッセイや講演録。
ジャンル作家的な活動をしていると、本当に色々思うことがあるんだろうな…の「本当に色々」の部分がいっぱい入っていて、読み応え抜群です。端的にいうと非常に怒っている。愛するものを守るための怒りの感情っていいですよね。ガチの感情だけを食わせておくれよ。
ファンタジーというジャンルを「現実逃避的だ」などと軽視する受け手、とくに評論家に対するやるせなさと憤りというものが繰り返し綴られていて、熱量がすごいです。
でも実際、大人になってからファンタジーを楽しんだり、そこに価値を感じた経験のない人にとって、「大人にとっても価値があるんだよ」と説得されても、「ふーん、あなたはそう思うんでしょうね…たしかに、世の中には、そう思う人も、いるでしょうね。しかし、私はそうは思いませんし、そんなこと言われてもねぇ……」としか言えないだろうし、難しいですよね。こういうコミュニティ外の人の浅い理解に対する怒りの虚しさみたいなのってありますよね。結局、コミュニティ内部の団結を強めて、排他的な傾向を強める働きしかしない気もするし……う〜ん?
とりあえず、『バンビ』の原作がいかに素晴らしいかが力説されているので、読んでみよ、となりました。





◼️『crow country』

 

 

 
閉園した遊園地を舞台にしたサバイバルホラーゲーム。PS5のゲームカタログに来てたのでやりました。

バイオハザード(初代)も大好きなので、リスペクトした本作も、全体的に高品質でとても面白かったです。

それにしても閉鎖された遊園地……いいですよねぇ。自分はこういう「子供向けモチーフを用いたホラー」が好きなので、とてもうれしいです。勝手に「キンダー・ナイトメア(児童的悪夢)」と呼んでるジャンルに入ってきます。こういうの、勝手にジャンル名をつけるくらいには好きです。






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 crow countryから話がそれるんですが、せっかくなのでキンダー・ナイトメアの話をさせてください。長いです。


児童的な世界に残酷さが持ち込まれるのって、「ギャップがおもしれ~」みたいな、直接的な刺激を引き出す以上の、なにか根深い欲求があるんじゃないんかなぁ、とつねづね思ってます。
 

そもそも、幸福な状態というのはどこか凄惨な未来を予感させるものですよね。良いことは永遠に続かないという直感は、悲しみから身を守るための防衛本能の一種です。ペシミスト、懐疑主義的傾向を持つ人間ならなおさら。より一般化すると、善なるものを観測したとき、その裏に悪を見出すことで、安心して善を純粋なものとして受け入れたい、という心の働きがあると思います。純粋な善が独立して存在することに対する恐怖。必ず悪を内包しているはずだという確信。だからこそ、桜の木の下には死体が埋まっているという想像が、慰めになるわけです。 
 
 
あとは、桜の根元の土が剥がれて、本当に死体が露出するかしないかの差でしかないわけです。露出までやっちゃうのがキンダー・ナイトメアです。そこでは子供世界に残酷な論理が持ち込まれますが、これはギャップではなく、公正的な世界の調和そのものなのかもしれません。天秤の両端が釣り合っている状態のことをギャップとは言わないのと同じことで。 
 
 
開発者の意図していないものなので適切な例ではないかもしれませんが、『ぼくのなつやすみ』の「8月32日バグ」は、ただのバグだし、本来は作品世界を毀損するものなんだけど、自分はバグ込みでどこかこの作品の完全性を感じてしまう。「世界って本来こういうものだよな」という納得感を見出さずにはいられない部分があるわけです。
 
 
 
 
『ぼくのなつやすみ』




ただ、たんなる善悪のバランスというだけなら、なにも子供時代に限定する必要はないはずです。自分がキンダー・ナイトメアに固執する理由は、経験則的に子供時代と残酷さが分かちがたく結びついているからじゃないでしょうか。 

 

そもそも、みなさんは子供時代が楽しかったですか? 自分は色んな理由から、あんまり楽しくなかったです。だいたい、人生のはじめの方に倫理観がまだ成熟していない集団と共同生活しないといけないというのは、ハードすぎませんか?そこには当たり前に暴力も支配関係もあるし、子どもの世界だから法律にすら一歩距離を置かれている。その上で、未成年はひどい環境から自力で脱出する能力も発想もない。さらには自分の方も見識が狭いから、それがひどい環境だと気づくきっかけすらない。檻の中の自然状態、残酷な万人闘争の季節です。
 

反面、大人になってからは身に受ける不条理も理不尽も減りました。もちろん皆無ではないですが、ほとんどの他者は十分な道徳が備わっていて、法的制裁を恐れており、そしてこちらにも危険の防御と回避の手札が揃っていますから。もちろん、本当に大人になってから世界が安全化されたかは、人によって感じ方が分かれるところですよね。子供時代の方が保護下にあったという意味では幸福だったというケースももちろんありますし。そこは人によると思います。
 
 
 


『amanda the adenturer 2』





ただひとつ言えるのは、子供時代に感じた恐怖や理不尽というのは簡単には払拭できないし、その後の人生で折に触れて向き合い続ける必要があるということ。児童性と残虐さは、ある種の人間にとって記憶の中で分かちがたく結びついていて、キンダー・ナイトメアは、その種の人間にとって「地に足についた納得感のある世界」を提供してくれる。そして、その中での冒険は幼少期のトラウマの再演と、その物語に決着をつけるということを意味する。だからこそ自分は少なくともこういうメディアを通じて心の傷が癒やされる実感があり、たいへんありがたいな、という気持ちがあります。 
 
 

単に物語をセラピーの道具として捉えるのはある種の矮小化ですが、多かれ少なかれ、みんなエンターテイメントの内部に人間の死を観測して、それを日常の糧としてる部分ってありますもんね。生命は死を取り込まないと生きてはいけないし、その死がどういう質感のものなのかという問題にすぎない。ル=グウィンがファンタジーに対して強い存在意義を感じるのと同じく、自分もいろんな意味でこうした児童的悲劇の実質的な価値を信じています。子供っぽいモチーフが残酷なことをしていたらおもしれ~というような、非常に悪趣味な表面的刺激を楽しんでいるということも、もちろん認めつつ……
 
 
 


『OMORI』






今回はビデオゲームに話を絞りましたが、ゲームはそもそもハードとしてレトロ的表現が得意なので、ノスタルジーとその毀損がうまく表現できる、良いメディアだよな~と思います。本当は児童文学とか絵本とかそのへんの話もできたら良いんだけど、長くなりすぎるので、このへんで…
 
 
これからも、ペシミストかつあんまりイケてない子供時代を過ごした自分はキンダー・ナイトメアの子守唄を求めて彷徨っていきます。ほな。
 




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そろそろ終わり。


『うさぎの本』、9月中に電子版公開のつもりでしたが、諸事情でもうちょっとかかりそうです。いろいろ気が変わったので早い段階でpixivとかに無料公開するかも。たぶんします。またアナウンスするのでそのときよろしくです。


それではまた来月 
今年もあと100日切りました
 
 
がんばりましょう!

 
がんばらなくても、可
 






2025/09/10

2025年8月(と9月)




9/7に行われたコミティア143に参加してきました。

 



新刊に『うさぎの本』というまんがを出しました。

無の状態から5日で46ページのネームと作画をやる、という全身破壊異常スケジュールでした。
おばか。普通に絵がへなへなになってしまった。
でも、あれこれ考える暇がなかったぶん、直球原液一番搾りみたいな感じに仕上がりました。
描いてて気持ちよかったし楽しかったです。
内容についてはふだんと毛色が違うので、どう受け止められるかな~という感じですが、そういうのも楽しんでくれたらうれしいな~という感じで。ひとつよろしくお願いします。
 
例のごとく、9月中に電子版も出して、BOOTHの方で買えるようにします。
そのうち無料で読めるようになるかも。
ちょっと絵とか演出部分、修正したいところもあるので、その上で出せればと思います。しばしお待ち下さい。

それにしても、まんがを発表できたのは2024年4月の『愛の再研磨』以来なので、(恐山さんの本に描いたやつを除くと)じつに1年半ぶりということになります。グエ!ひさしぶりすぎる。人生は短いのに……永遠に生きるつもりかい?ちっぽけな猿ふぜいが!でも過ぎたことをどうこう言ってもしゃあないですね。これをきっかけにまたいっぱい描けたらな~という気持ちです。というか、やります。順番にやっていけたら。全部ね。





今回も石に絵をかいたやつ持っていきました。全3種。
イベントで財布の紐のゆるんでいる人々にそのへんの石を高値で売りつけるという、詐欺ティアのコーナーです。まあ貨幣経済自体が集団幻覚みたいなものなので、なにやってもええでしょう(そんなことはない)。 
5種類つくったんだけどニス塗ったら絵の具が溶けちゃってボツに。かなしかった。
会場直後に3人の方が買っていかれて、1分で完売しました。はや。たぶん10人くらいしか観測してないです。次はもうちょっとたくさん作っていくことにします。これ前も言ったな。自分との約束を守れよ。自分との約束を守れないやつは、いつか自分に裏切られることになるぞ。
以上、詐欺ティアのコーナーでした。




 
当日の朝に思いつきで作った緒方先輩シール。4年前の本のキャラなのに覚えてくれてるひとがたくさんいて嬉しかったです。
アンチ・テクノロジーとか言ってるけど、自身はテクノロジーの力で複製されている!
当日、会場の机にてハサミでチョキチョキ切り続けていました。本がパーで石がグーだとしたら、こいつがチョキになる。これにて三位一体ということで。 
 
  
スペースに来てくださった方、ありがとうございました!差し入れ各種も嬉しかったです。
差し入れができるというのはすばらしい才能です。幸せになってくれ~。
 

 
 
 

今年のコミティアは4回とも出るつもりなので、次がラストの11月ですね。これはサクカです。
なぜ4回とも出るかというと、4回とも出たいからです。 
既刊いろいろもっていくし、もちろん新刊も出せたらな~とおもうので、よろしくお願いします。
以上、コミティア情報でした。
 
 
 
 



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ニューパンスト(New PANTY & STOCKING with GARTERBELT)の5話Aパートにちょろっと原画で参加しました。知人の大井くんのコンテ・作監担当回です。すごいぜ。
分類上は原画ですが、素材提供みたいな感じです。むかし観てたパンストにつまさきだけでも関われて嬉しかった。人生なにが起きるかわかりませんね。将来、老人ホームで自慢するんだ。
他の話も面白いのでみんな観よう!デーモン姉妹がすきなので、映ると嬉しいです。







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8月に大阪万博に行ってきました。
写真いっぱいとったけど多すぎるから短めに。




間先生!?


万博全体に言えることですが、パビリオンとかの気合入れてる展示はだいたい大スクリーンにドーン!シャワワーン…私達の未来……という感じでなんか3つくらい観たら正直なところけっこう食傷気味になりました。自分は万博にみんぱくみたいな民族色や文化色をひっさげてきてくれたものを期待してたんですが、どうもちょっとコンセプトが違って、どっちかというとビジネスの文脈が強い催しものだった。でもその隙間に完全には日本標準に寄せてない、よくわからない歪みのようなものが見えて、その不意打ちが楽しい、という感じです。なんか批判してるみたいな文章になったけど、建物とか見てるだけで楽しいのでブラブラ散歩してるだけでもいいですよ。大屋根リングはかっこいいし、涼しい。
 
不意打ちと言うと、コモンズ館という、独立したパビリオンを持たない国たちが1館に収まっているところがおもしろかったです。物質としてちょっとなんかよくわかんないものがゴロゴロ転がっている。ガボンの展示とか「ここはガボン、すべて生命の始まりの地…」みたいなこと言ってて、ほんまか?みたいになった。

 
 


【なんかよかったものコーナー】


イルカ?
じぶんの脳みそからは絶対にでてこないデフォルメで、すごい
 
 
 



抽象化されたうま
 抽象化されたうま こそあれば
 
 
 




万博内に設置されている案内板なんですが、現在地点表示のUI(UIであってる?)がすごい良い~となってました。赤点に指向性をもった目玉をつけるだけで、案内板から見ている方向が直感的にわかるようになってる。しかもキャラクター性もある。
赤矢印よりもわかりやすいので、万博以外の一般的な案内表示でも全然使えそう。







あと大人気のイタリア館は美術品がたくさんあって、前評判通りいちばんよかったです。
他のパビリオンは未来志向という感じだったんですが、「おれたちは……美術館をやる!!」という謎の気合が入っていたため、反則技みたいな良さがありました。万博に言ったのは平日でしたが、昼の12時くらいに並ぼうとしたときは6時間待ちくらいで、ヒエー、やっとられん、とんずらー、だったんですが、あらためて19時くらいにいったら2時間待ちくらいで入れました。ウシ。






 
 
 
マスコットのルーチェ人形も買えました。よかった。
なんか顔が縦に長い気がするけど、まあそれもよし…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ん? 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



きみ、かわいいねぇ……
 
 
 
 
 
 



全体的にたのしかったです。大屋根リングはでかくて涼しかった。










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●よかったもの(の一部)のコーナー



・『Öoo
爆弾を使うパズルゲーム。よかったです。やらないとなかなか伝わらないと思いますが、解法の作り方がほんとうに美しい。ふつうステージクリア型のパズルゲームというと、ステージ1は基本動作でクリアできるチュートリアル的な立ち位置で、そのあとステージ2、ステージ3…と進むにつれて、ステージ側のギミックが増えていくという拡張方法がセオリーですが、本作はほとんど基本操作でやれることのバリエーションや、その動作の理解を深めるだけで解けるパズルがほとんどで、最後まで突き進みます。えっ!?そんなこともできるの!?という気づきさえあれば解けるようになっているので、複雑に絡まった紐をウンウン言いながら解く……というより、発見と理解、知識の蓄積によって解けるデザインで、ず~っと気持ちいいです。パズル苦手な人にもやってほしい。ディレクターの生高橋さんの前作、『ElecHead』も当時やって、すげ~~~でしたが、それを更に越えてきた…という感じで、戦慄しました。現時点でのパズルゲームの最高傑作、といっても良いんじゃないでしょうか。すごいものを作るひとが、世の中には、いる…



・『星つなぎのエリオ』
ピクサー最新作。宇宙が舞台というだけでもう好きなんですが、ちょっと見たことのないタイプの尖りまくった脚本の展開をしていて、それでいて着地も美しくてよかったです。最後泣いちゃった。このツイストがどこまで意図的なものなのか、それとも制作に難航したり複数人の意見がグチャグチャになったせいなのか区別が尽きませんが、結果的に変なものが見れて嬉しかったです。それに限らず、ピクサー作品はいつも、まさかこの題材でこのテーマをやるとは…という予想外なパンチが飛んでくるので面白いですね。最近、同スタジオの作品はトイストーリーとかカーズとかの頃に比べるとキャラクターIPで勝ちに行くぜ、みたいなスタイルじゃなくて小規模だけどディレクターの個人的な体験やアイデンティティに根ざした佳作、という感じのを出してくれて、そっちの方向もけっこう好みなので、嬉しかったりします。



・『近畿地方のある場所について』もよかったです。
予算のある白石映画は最強だ~。作中映像のクオリティがさすが、という感じでした。ふつうに本当にこわかった。映画館でみると、よいです。
 
 

・『8番出口』もそう来るか、という面白さで楽しかったです。横浜美術館で佐藤雅彦展みてきて、その向かいのユナイテッドシネマで観てきたんですが、本作、佐藤雅彦の弟子にあたる人が関わっているんですね。「構造から物語を立ち上がらせる」という手法が受け継がれていて、なるほど~ループでそういう感じの話にするか~という感じでした。意外とミニシアター系だった。映像表現もバチバチに決まっていて、気持ちよかったです。映画館で観ると、よいです。



長くなりすぎた
 
 
 
 
 
 8月は更新できなかったけど、8月の絵を貼っときます



また来月!はよ秋きて~
 
 
オワリチェリ (←終わってるトルコの軍隊)
 
 
 
 




2025/07/30

2025年6月(と7月)

 

 

 

沖縄いきたい





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 大阪文化館・天保山(旧サントリー・ミュージアム)でやってたリシェイプド・リアリティ:ハイパーリアリズム彫刻の50年を見てきました。リアリズム彫刻の展覧会です。

 

 





  アンディ・ウォーホルもいた。かなり大きいです。

 

展示されている人体彫刻はどれも実物大かそれよりかなり大きいサイズのものなんですが、自分の顔より遥かに巨大な顔面に対面すると、当然のように生理的恐怖が湧いてくる。でも少し時間がたつと慣れて、安心感や寄りかかりたいような気持ちが湧いてくる。

たぶんこれって幼児期に親みたいな存在に対して感じる気持ちと一緒なんでしょうね。大人になると自分よりずっと大きい顔面に遭遇する機会ってないですし。

 自宅での作業に緊張感ほしいから、パソコン机の横にでっかいアンディ・ウォーホルを置いて置きたい気持ちもある。この眼で見つめられると、なんか捗る気がするんだよな…Big  Andy is watching you……

  

 

 
この作品がすごかった。
 歪んだ人間の頭部が壁に設置されていて、見る角度によって大きく見え方が変わる。
写真じゃ伝わらないけど、リュックの中でつぶれたアンパンみたいな形状をしています。


 

    

最も顔が薄い角度から見たらこう。

夜道で振り向いてこれだったらこわすぎるぜ。




 


    

 ひざ?ひじ?

 

それにしても人間の皮膚というものの深みはすごい。話はそれるんですが、さいきん『デス・ストランディング2』をプレイしたときにも、前作に比べてさらにキャラクターの肌表現が進化しててびっくらこきました。みんなお肌の血色がよくて、モイスチャーで、ぷるぷるしている。風呂あがり?乳液つけた?という感じ。どうもモデリングの段階で、表皮だけじゃなくて、皮膚の内部に入り込んで散乱した光とかを演算できるようにしてるからのこと。そんなのできるの?高度に発達した科学すぎて自分にはなんにもわかりません。

 

今回の作品展でみた彫刻も、たぶん表皮だけじゃなくて真皮とか角質の透明層とかも含めて、何層にも支持体に塗り重ねたりしてるから、近くで見ても本当の人間の肌にしか見えない。なにより本物っぽいのに本物じゃないというめまい。不気味の谷に吊り橋をかけて渡りきったら、そのさきに不気味の断崖がありました。みたいな。これはみんなにも実際に観て確かめてほしい。皮膚を見たければ天保山だ。

 

それにしても、人体彫刻家というものは絵画と違って背景という概念が存在しないがゆえに、とにかくず~~~っと人体のことを考え続けているんだろうけど、ことリアリズム彫刻についてはとくに皮膚のことを考えている時間がとても長いはず……。皮膚のことを考え続ける人生の凄みよ。

 

逆に、自分が表現とかやるときの絵って、皮膚をあんまりにも捨象してるから、意識に上らないんですよね。とくに白黒のまんがの、こういう絵。

 

……こういう絵ばかり描いてると皮膚について考えなくなります。別に悪いことではないんだけど。 なんかただ、皮膚に向き合ってなさすぎるな…という反省の気持ちが湧いてきました。 

 
『ヒトの目、驚異の進化』という本でこういう実験の話が紹介されてました。 いろいろなオブジェクトが映っている写真を被験者に見せて「この写真にはどのような色がありますか?」という質問をした場合、ほとんどの人は植物の緑色や服の黄色などを指摘する一方で、驚くほど多くの人が人間の肌の色を見落とすらしい。(うろ覚えだから細かいところは確実に間違ってます、ご了承ください)
 
なんにせよ、それくらい皮膚というのは無意識化に沈んだ存在で、色として意識されることなく透明化されているというわけです。人間にとっての透明色というのは水ではなく皮膚なのかもと。だから皮膚テクスチャというのも、描写しないほうがむしろ認知的にはリアリズムをやってるということです。カラー漫画よりも白黒まんがの絵のほうが、キャラクターの人体の肉感を感じたりすることありませんか?(※実はスケベなまんがの話をしています) あれも認知的な理由があるのかもしれませんね。
 

展覧会には他にも面白い作品が盛りだくさんでした。10/13までやってるみたいなので、遠方から万博にお越しの方もついでにぜひ。おすすめです。

 

そして自分も万博にはまだ行けてない。大阪在住なのに。きょうの夜いきます。今決めました。行ってきます。



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 ●良かったもの(の一部)

さっきもチラっと触れたけど、デス・ストランディング2 よかったですね

ゲームとして良かった部分はたくさんあるんだけど、そういう調整の問題とは別に、本作、すごくトーンが明るいんですよね。そういう意味で、ポジティブな世界に対する眼差しを感じられたのが一番よかったです。じぶんは個人的に「年を重ねるにつれて明るくて前向きな作風に転じていく作家」がすごく好きで。いや、若い頃からずっとブチ切れ続けてるひともぜんぜん好きですけど。エミネムとか、ラース・フォン・トリアーとか……怒り続けるのもその人にとっての感情の真実だし。

でもなんかそれとは別に、上の世代の人間が暗いトンネルの外に抜け出せたかのように世界に対して肯定的な結論を下しているのを見ると嬉しいじゃないですか。少し前まで「人って基本的に経験を積むほどかしこくなっていくけど、どんどん許せないものが増えて、ひねくれて、世界の苦しさばかりを語るようになっていく先細りの生き物」だと思っていた節があるし、なんなら今もかなりそう思っている。

だけどそういうものを否定してくれるような存在があるというのは、いいものですね。けっきょくのところ、だれかに慰められたいし、たしなめられたいのだ。 

 

 

  星野源がショット・ガンをくれる豊かな世界

 


あとさいきん、犬の散歩コースを変えました。

乗馬クラブの前を通過するようになったので、毎朝、馬に会える。

 

うれしいったらないね! 

 

 おわり。

 

 

2025/06/16

2025年5月(と6月上旬)

 

 
 
 関西も本格的に梅雨入りしました。散歩できないから雨やだよー
  
毎月更新のはずが、6月中盤になっている
でも5月はほとんどなにもなかったし…まあいいか!
 

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 コミティア152に行ってきました 
 
 
 
描いた絵が看板になってました。 
こんなにありがたいことはないですね…
 
 
 


前回に引き続き今回もまんがの新刊はなしでした。
既刊のみの参加だとさすがに寂しいので、代わりに石に絵を描いたやつを持っていきました。
人工物の代わりに自然物を提出する……逆タヌキ?

以前に和歌山某所で拾ってきた石にアクリルガッシュで絵を描いてみました。
一番手前の青い寝袋の子がお気に入りです。
筆を動かしているときは無心になれてよかったです。
うーん、たのしい、禅だな……禅……

じぶんは幼少期からグッズ収集癖というか、もっと広く、物体全般に対する関心があんまりなかった(その代わりゲームソフトとか漫画とかの「情報を食う」系が好きだった)んだけど、さいきんは物体である、ということがとみに嬉しくなってきていています。
物体の中でも、質量があるものがいい。だからこその石。やっぱり中までぎっしりと詰まっていて、そういうものに対する安心感がどんどん増えている。なぜ?人生が空虚に思えるから?存在の耐えられない軽さ、っちゅうわけですか?あるいは重くなりすぎるなんらかに対するカウンターウェイトのようなものを求めているのかもしれない。どっちでもいいけど、いまはボウリング場にいってあのツヤツヤした石を転がしたいし、できることなら、できることならカーリングだってやりたいさ……海洋堂だってキャラクターフィギュアとかも石で作って欲しい

それで、作ったやつなのですが20分くらいでぜんぶ売り切れてしまいました。
みんなが石好きで嬉しいね。次はもっといっぱい持っていこうと思います。
幸い実家がものすごい山奥なので、今度は近所の川で拾った石でやります。
 
※河原・海岸の石は管理・所有されているものがほとんどです
ちゃんと拾ってよいものか行政機関に確認をとりましょう
 
 
差し入れいろいろいただきました。ありがとうございます。
食べられるものは食べてしまったので、石とヘラクレスの写真しか残ってない。
  
 
 
 
 
 
 
 

  
 うーん かっこいい…
 
 
 
 
今年のコミティアはなんとなく4回ぜんぶ出ようと思うので、次は9月ですね。
ふだんの生活がなんにもなさすぎるので、コミティアの話ばっかりになっている
 
もし会場に来られる方がいたら、よろしくお願いします。 
 
 
 
 
 
 
 
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 ★問題★
 
 
 
 
 
 
 
 
   
これは先日100円ショップで買ったパズルです
 
平面にいきものたちを敷き詰めるよくあるやつですが… 
 
 
 
 
 
 
  
 
  

このスペースに入る生き物はなんでしょう? 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 【答え】

 
 
  

 
 
 
 
 



 

チンアナゴ


みなさんはわかりましたか?
というか、この姿を見た瞬間、これがチンアナゴと、受け入れられましたか? 
じぶんは5秒くらいなんなのかよくわかりませんでした。 
サンゴかなんかだと思った。
 (※正確にはチンアナゴは斑点のもので、オレンジのやつはニシキアナゴらしいです) 

 

 
 
 
 
  
見れば見るほど 無理がある 味わい深い形をしている
 
うーん、愛おしい…… 
 
 
普通、チンアナゴというと もっと間延びしたヒモみたいな形を想像しますよね。
 
今回こいつはクマノミ、マンボウ、マグロの三体によって生まれたスペースを埋めるため、このような常軌を逸した形として存在することになりました。
 
こういうパズルには、他の完全な存在が作り出したいびつな空間を埋め合わせるため、自らの肉体を勇敢に変形させる存在がいます。 
  
彼らは「橋なる者(Bridger)と呼ばれます。
 
私がそう呼ぶことに決めました。
 
 
 
 

このチンアナゴはとても優秀なBridgerですね。

 
 
 
 

 
このタコもなかなか独特の脚の形をしていますね。
かなりクリオネも頑張ってます。  
 
対照的に、タツノオトシゴはとてもきれいな、完璧に近い形をしています。
 
このように、他の影響をあまり受けることなく、完全な形として存在している存在、
すなわち、パズルの設計をする際、Bridgerに先行して形が決まっている存在があります。
彼らを「橋なる者」と対比して、島なる者(Islander)と呼びます。 
 
 
こうしたパズルの作成方法は

①起点となるIslanderを作成
②Islanderにつながる存在(準Islander)を作成
③余った空間を調整してくれるBridgerを作成
 
というような感じで進行するはずです。たぶん。
 
  

 
木枠から取り出してこうやって並べてみるとかなり差がありますね。
 
 
表にしてみると… 

 
 
 


こう。異論は認めます。
 
 
 
上の3つはかなりクオリティが高い形状をしているように見えます。
まさしくIslanderですね。 
反面、クリオネはなんかけっこう歪んでたり、イカは長い脚が左右非対称だったり、無理してくれています。それにしても、やはりBridegerたちはチンアナゴを除いてどれも軟体動物で構成されています。これはすごい!!!自分がそうなるように分類しただけの話なんですが…こういう論文を書くとめちゃくちゃ怒られます 
 
 
 
 
 

うーん、デザインも洗練されてるし、とてもよくできてますね。傑作だなあ。






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●良かったもの(の一部)
 
 

『サブスタンス』
すごかったです。まだ5月だけど、たぶん今年ベスト。
エンタメ映画として観てもひじょうに完成度が高いんですが、根底にあるテーマの切実さを考慮すると、ここまで高いレベルで作品に昇華できていることに唸るしかできないです。
 
ただ…めちゃくちゃグロい。いわゆるボディホラーという肉体の変質を描くホラーSFで……自分は映画ならジャンル問わずわりとなんでも大好き!なのですが、スプラッタとかはけっこう苦手寄り………痛そうなのダメ……そういうわけで真(まこと)のシネフィルを名乗れない後ろめたさがあるのですが、どうなんでしょう。フィルムという媒体にはセックスとグロテスクこそ表現の本質って圧力が働いてる気がしません?いや、それはどちらかと言うと生物世界の本質か……
ともかく、鑑賞中はなんでお金払ってこんなもの観なきゃいけないんだよ……というのが正直な気持ちで、あーいやだいやだもう、わかったわかった、帰りたくて仕方がない、やだよ~、あ~けど、面白いなー、いや、面白いでいいのか…?でもすごいことは確かだ……ちゃんと最後まで観よう……観た……最後までグロかった……帰りにモスバーガー食べようとおもったけどやめとこ……そういう場合じゃないだろ……でも面白かったな……みんなも観てください。もう6月になっちゃったけど…
 
自分はフィクションというのはなんだかんだで作り手のクリティカルな問題意識が製作動機に張り付いている(かつ、娯楽化されているもの)であればあるほど好きなので、これは大好物でした。映画っていちばんすごいメディアだな(任意のメディアについて良いものを観た直後に言っている)。おすすめです。でもグロいよ。


長くなったので今回はこれだけで。
あとはdeltaruneもすごかったです。もはや言うまでもなく感はありますが。


それではまた7月
 
 
 
 
テヤッ!!!!!!!!!!!!!!!!!


















2025/05/03

2025年4月

 

 

牛!!

牛牛牛牛牛牛…

 

牛!

牛牛!!!!

 

 


 

●瀬戸内海の島々に旅行してきました。


船に乗ってぶーん





かわいいヤツめ





ん?あれは…

 

 


牛!


あーたのしかった。

 

今月は以上です。



●良かったもの(の一部)

『夜想曲集』

夜と音楽をテーマにした短編小説集。著者はカズオ・イシグロ。

いっぱしのミュージシャンになろうとするも、くすぶってる若者がたくさん出てくる。著者も音楽でやっていこうとしてくすぶった経験のある人間なのでものすごく体重が乗ってます。気持ちいいんだこれが。

思ったよりコメディに寄った作品とかもあって、こういうのも書くんだーという印象でした。おすすめです。

あとテーマ固定の連作短編ってかっこいいですよね。存在として。



映画ドラえもん のび太の絵世界物語

ひさびさにドラ映画をスクリーンで観てきました。

絵を描く人にはわかってもらえるかもしれないけど、絵をテーマにした話って逆に観るの腰重いな…みたいなのありません?ありました。

でも評判が良かったので振り切って観たら、すごくよかったです。

OPの映像も最高でした。すごすぎ!あそこだけ10回みたいよー

 

 

 

『バード 砂漠の勝負師』

ようやく読みました。すごい。宿敵の「蛇」が怖い!

個人的にフィクションでいちばんおっかない男は『ノーカントリー』の アントン・シガーなのですが、それに迫るインパクトでした。キャー

 

 

『塊魂 rolling live』

塊魂の新作!新作が出るだけで嬉しいんです

塊魂はシリーズ通してボーカル入りの曲がいっぱい入っており、もはやプレイできる音楽アルバムという側面すらあります。

改めて、初代の時点で楽曲含めてこのゲームデザインが完成していたことに驚きますね。とんでもないよー

 

 

 あとマサラダさんの新曲も聴けてよかったです。嬉しい!

生きてるだけでいいものが増え続けてるすごい世界なので、死ねないですよね。

でもあわよくば、世界あと3つくらいあったら楽しいのに。

世界地図とか、産まれてこの方何回みても何回みてもずーっと同じなのでちょっと飽きません? 

3種類くらいあれよ、とは思います。

神はじめに言った「3種類あれ」

 

 

 

 

あとよく考えることなんだけど、太陽を挟んで公転軌道の正反対に別の「裏地球」がもう一つ浮いてたら、なかなか気付けない気がする。


 

こんなかんじ。

ずーっとお互いに太陽の裏に隠れてるので、見ることができない。

それで、宇宙開発できるレベルになってから初めて互いの存在に気がつくという。

もちろん大陸の形も違うし、生態系とかも別の進化を辿っていて…

そんでロケットで行き来できるようになってから、互いの星どうしで侵略的外来生物が持ち込まれたーとかでモメて…

うーん、やっぱりなかなかおもしろい。 夢が広がりますね。

 

 


あ、そういえば6/1のコミティアにでるので漫画をなんか用意してます。

いけるか? わかんないけどがんばらせてください。がんばります

来れる人はあいましょう

 

ではまた6月


おしまい