2025/07/30

2025年6月(と7月)

 

 

 

沖縄いきたい





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 大阪文化館・天保山(旧サントリー・ミュージアム)でやってたリシェイプド・リアリティ:ハイパーリアリズム彫刻の50年を見てきました。リアリズム彫刻の展覧会です。

 

 





  アンディ・ウォーホルもいた。かなり大きいです。

 

展示されている人体彫刻はどれも実物大かそれよりかなり大きいサイズのものなんですが、自分の顔より遥かに巨大な顔面に対面すると、当然のように生理的恐怖が湧いてくる。でも少し時間がたつと慣れて、安心感や寄りかかりたいような気持ちが湧いてくる。

たぶんこれって幼児期に親みたいな存在に対して感じる気持ちと一緒なんでしょうね。大人になると自分よりずっと大きい顔面に遭遇する機会ってないですし。

 自宅での作業に緊張感ほしいから、パソコン机の横にでっかいアンディ・ウォーホルを置いて置きたい気持ちもある。この眼で見つめられると、なんか捗る気がするんだよな…Big  Andy is watching you……

  

 

 
この作品がすごかった。
 歪んだ人間の頭部が壁に設置されていて、見る角度によって大きく見え方が変わる。
写真じゃ伝わらないけど、リュックの中でつぶれたアンパンみたいな形状をしています。


 

    

最も顔が薄い角度から見たらこう。

夜道で振り向いてこれだったらこわすぎるぜ。




 


    

 ひざ?ひじ?

 

それにしても人間の皮膚というものの深みはすごい。話はそれるんですが、さいきん『デス・ストランディング2』をプレイしたときにも、前作に比べてさらにキャラクターの肌表現が進化しててびっくらこきました。みんなお肌の血色がよくて、モイスチャーで、ぷるぷるしている。風呂あがり?乳液つけた?という感じ。どうもモデリングの段階で、表皮だけじゃなくて、皮膚の内部に入り込んで散乱した光とかを演算できるようにしてるからのこと。そんなのできるの?高度に発達した科学すぎて自分にはなんにもわかりません。

 

今回の作品展でみた彫刻も、たぶん表皮だけじゃなくて真皮とか角質の透明層とかも含めて、何層にも支持体に塗り重ねたりしてるから、近くで見ても本当の人間の肌にしか見えない。なにより本物っぽいのに本物じゃないというめまい。不気味の谷に吊り橋をかけて渡りきったら、そのさきに不気味の断崖がありました。みたいな。これはみんなにも実際に観て確かめてほしい。皮膚を見たければ天保山だ。

 

それにしても、人体彫刻家というものは絵画と違って背景という概念が存在しないがゆえに、とにかくず~~~っと人体のことを考え続けているんだろうけど、ことリアリズム彫刻についてはとくに皮膚のことを考えている時間がとても長いはず……。皮膚のことを考え続ける人生の凄みよ。

 

逆に、自分が表現とかやるときの絵って、皮膚をあんまりにも捨象してるから、意識に上らないんですよね。とくに白黒のまんがの、こういう絵。

 

……こういう絵ばかり描いてると皮膚について考えなくなります。別に悪いことではないんだけど。 なんかただ、皮膚に向き合ってなさすぎるな…という反省の気持ちが湧いてきました。 

 
『ヒトの目、驚異の進化』という本でこういう実験の話が紹介されてました。 いろいろなオブジェクトが映っている写真を被験者に見せて「この写真にはどのような色がありますか?」という質問をした場合、ほとんどの人は植物の緑色や服の黄色などを指摘する一方で、驚くほど多くの人が人間の肌の色を見落とすらしい。(うろ覚えだから細かいところは確実に間違ってます、ご了承ください)
 
なんにせよ、それくらい皮膚というのは無意識化に沈んだ存在で、色として意識されることなく透明化されているというわけです。人間にとっての透明色というのは水ではなく皮膚なのかもと。だから皮膚テクスチャというのも、描写しないほうがむしろ認知的にはリアリズムをやってるということです。カラー漫画よりも白黒まんがの絵のほうが、キャラクターの人体の肉感を感じたりすることありませんか?(※実はスケベなまんがの話をしています) あれも認知的な理由があるのかもしれませんね。
 

展覧会には他にも面白い作品が盛りだくさんでした。10/13までやってるみたいなので、遠方から万博にお越しの方もついでにぜひ。おすすめです。

 

そして自分も万博にはまだ行けてない。大阪在住なのに。きょうの夜いきます。今決めました。行ってきます。



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 ●良かったもの(の一部)

さっきもチラっと触れたけど、デス・ストランディング2 よかったですね

ゲームとして良かった部分はたくさんあるんだけど、そういう調整の問題とは別に、本作、すごくトーンが明るいんですよね。そういう意味で、ポジティブな世界に対する眼差しを感じられたのが一番よかったです。じぶんは個人的に「年を重ねるにつれて明るくて前向きな作風に転じていく作家」がすごく好きで。いや、若い頃からずっとブチ切れ続けてるひともぜんぜん好きですけど。エミネムとか、ラース・フォン・トリアーとか……怒り続けるのもその人にとっての感情の真実だし。

でもなんかそれとは別に、上の世代の人間が暗いトンネルの外に抜け出せたかのように世界に対して肯定的な結論を下しているのを見ると嬉しいじゃないですか。少し前まで「人って基本的に経験を積むほどかしこくなっていくけど、どんどん許せないものが増えて、ひねくれて、世界の苦しさばかりを語るようになっていく先細りの生き物」だと思っていた節があるし、なんなら今もかなりそう思っている。

だけどそういうものを否定してくれるような存在があるというのは、いいものですね。けっきょくのところ、だれかに慰められたいし、たしなめられたいのだ。 

 

 

  星野源がショット・ガンをくれる豊かな世界

 


あとさいきん、犬の散歩コースを変えました。

乗馬クラブの前を通過するようになったので、毎朝、馬に会える。

 

うれしいったらないね! 

 

 おわり。

 

 

2025/06/16

2025年5月(と6月上旬)

 

 
 
 関西も本格的に梅雨入りしました。散歩できないから雨やだよー
  
毎月更新のはずが、6月中盤になっている
でも5月はほとんどなにもなかったし…まあいいか!
 

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 コミティア152に行ってきました 
 
 
 
描いた絵が看板になってました。 
こんなにありがたいことはないですね…
 
 
 


前回に引き続き今回もまんがの新刊はなしでした。
既刊のみの参加だとさすがに寂しいので、代わりに石に絵を描いたやつを持っていきました。
人工物の代わりに自然物を提出する……逆タヌキ?

以前に和歌山某所で拾ってきた石にアクリルガッシュで絵を描いてみました。
一番手前の青い寝袋の子がお気に入りです。
筆を動かしているときは無心になれてよかったです。
うーん、たのしい、禅だな……禅……

じぶんは幼少期からグッズ収集癖というか、もっと広く、物体全般に対する関心があんまりなかった(その代わりゲームソフトとか漫画とかの「情報を食う」系が好きだった)んだけど、さいきんは物体である、ということがとみに嬉しくなってきていています。
物体の中でも、質量があるものがいい。だからこその石。やっぱり中までぎっしりと詰まっていて、そういうものに対する安心感がどんどん増えている。なぜ?人生が空虚に思えるから?存在の耐えられない軽さ、っちゅうわけですか?あるいは重くなりすぎるなんらかに対するカウンターウェイトのようなものを求めているのかもしれない。どっちでもいいけど、いまはボウリング場にいってあのツヤツヤした石を転がしたいし、できることなら、できることならカーリングだってやりたいさ……海洋堂だってキャラクターフィギュアとかも石で作って欲しい

それで、作ったやつなのですが20分くらいでぜんぶ売り切れてしまいました。
みんなが石好きで嬉しいね。次はもっといっぱい持っていこうと思います。
幸い実家がものすごい山奥なので、今度は近所の川で拾った石でやります。
 
※河原・海岸の石は管理・所有されているものがほとんどです
ちゃんと拾ってよいものか行政機関に確認をとりましょう
 
 
差し入れいろいろいただきました。ありがとうございます。
食べられるものは食べてしまったので、石とヘラクレスの写真しか残ってない。
  
 
 
 
 
 
 
 

  
 うーん かっこいい…
 
 
 
 
今年のコミティアはなんとなく4回ぜんぶ出ようと思うので、次は9月ですね。
ふだんの生活がなんにもなさすぎるので、コミティアの話ばっかりになっている
 
もし会場に来られる方がいたら、よろしくお願いします。 
 
 
 
 
 
 
 
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 ★問題★
 
 
 
 
 
 
 
 
   
これは先日100円ショップで買ったパズルです
 
平面にいきものたちを敷き詰めるよくあるやつですが… 
 
 
 
 
 
 
  
 
  

このスペースに入る生き物はなんでしょう? 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 【答え】

 
 
  

 
 
 
 
 



 

チンアナゴ


みなさんはわかりましたか?
というか、この姿を見た瞬間、これがチンアナゴと、受け入れられましたか? 
じぶんは5秒くらいなんなのかよくわかりませんでした。 
サンゴかなんかだと思った。
 (※正確にはチンアナゴは斑点のもので、オレンジのやつはニシキアナゴらしいです) 

 

 
 
 
 
  
見れば見るほど 無理がある 味わい深い形をしている
 
うーん、愛おしい…… 
 
 
普通、チンアナゴというと もっと間延びしたヒモみたいな形を想像しますよね。
 
今回こいつはクマノミ、マンボウ、マグロの三体によって生まれたスペースを埋めるため、このような常軌を逸した形として存在することになりました。
 
こういうパズルには、他の完全な存在が作り出したいびつな空間を埋め合わせるため、自らの肉体を勇敢に変形させる存在がいます。 
  
彼らは「橋なる者(Bridger)と呼ばれます。
 
私がそう呼ぶことに決めました。
 
 
 
 

このチンアナゴはとても優秀なBridgerですね。

 
 
 
 

 
このタコもなかなか独特の脚の形をしていますね。
かなりクリオネも頑張ってます。  
 
対照的に、タツノオトシゴはとてもきれいな、完璧に近い形をしています。
 
このように、他の影響をあまり受けることなく、完全な形として存在している存在、
すなわち、パズルの設計をする際、Bridgerに先行して形が決まっている存在があります。
彼らを「橋なる者」と対比して、島なる者(Islander)と呼びます。 
 
 
こうしたパズルの作成方法は

①起点となるIslanderを作成
②Islanderにつながる存在(準Islander)を作成
③余った空間を調整してくれるBridgerを作成
 
というような感じで進行するはずです。たぶん。
 
  

 
木枠から取り出してこうやって並べてみるとかなり差がありますね。
 
 
表にしてみると… 

 
 
 


こう。異論は認めます。
 
 
 
上の3つはかなりクオリティが高い形状をしているように見えます。
まさしくIslanderですね。 
反面、クリオネはなんかけっこう歪んでたり、イカは長い脚が左右非対称だったり、無理してくれています。それにしても、やはりBridegerたちはチンアナゴを除いてどれも軟体動物で構成されています。これはすごい!!!自分がそうなるように分類しただけの話なんですが…こういう論文を書くとめちゃくちゃ怒られます 
 
 
 
 
 

うーん、デザインも洗練されてるし、とてもよくできてますね。傑作だなあ。






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●良かったもの(の一部)
 
 

『サブスタンス』
すごかったです。まだ5月だけど、たぶん今年ベスト。
エンタメ映画として観てもひじょうに完成度が高いんですが、根底にあるテーマの切実さを考慮すると、ここまで高いレベルで作品に昇華できていることに唸るしかできないです。
 
ただ…めちゃくちゃグロい。いわゆるボディホラーという肉体の変質を描くホラーSFで……自分は映画ならジャンル問わずわりとなんでも大好き!なのですが、スプラッタとかはけっこう苦手寄り………痛そうなのダメ……そういうわけで真(まこと)のシネフィルを名乗れない後ろめたさがあるのですが、どうなんでしょう。フィルムという媒体にはセックスとグロテスクこそ表現の本質って圧力が働いてる気がしません?いや、それはどちらかと言うと生物世界の本質か……
ともかく、鑑賞中はなんでお金払ってこんなもの観なきゃいけないんだよ……というのが正直な気持ちで、あーいやだいやだもう、わかったわかった、帰りたくて仕方がない、やだよ~、あ~けど、面白いなー、いや、面白いでいいのか…?でもすごいことは確かだ……ちゃんと最後まで観よう……観た……最後までグロかった……帰りにモスバーガー食べようとおもったけどやめとこ……そういう場合じゃないだろ……でも面白かったな……みんなも観てください。もう6月になっちゃったけど…
 
自分はフィクションというのはなんだかんだで作り手のクリティカルな問題意識が製作動機に張り付いている(かつ、娯楽化されているもの)であればあるほど好きなので、これは大好物でした。映画っていちばんすごいメディアだな(任意のメディアについて良いものを観た直後に言っている)。おすすめです。でもグロいよ。


長くなったので今回はこれだけで。
あとはdeltaruneもすごかったです。もはや言うまでもなく感はありますが。


それではまた7月
 
 
 
 
テヤッ!!!!!!!!!!!!!!!!!


















2025/05/03

2025年4月

 

 

牛!!

牛牛牛牛牛牛…

 

牛!

牛牛!!!!

 

 


 

●瀬戸内海の島々に旅行してきました。


船に乗ってぶーん





かわいいヤツめ





ん?あれは…

 

 


牛!


あーたのしかった。

 

今月は以上です。



●良かったもの(の一部)

『夜想曲集』

夜と音楽をテーマにした短編小説集。著者はカズオ・イシグロ。

いっぱしのミュージシャンになろうとするも、くすぶってる若者がたくさん出てくる。著者も音楽でやっていこうとしてくすぶった経験のある人間なのでものすごく体重が乗ってます。気持ちいいんだこれが。

思ったよりコメディに寄った作品とかもあって、こういうのも書くんだーという印象でした。おすすめです。

あとテーマ固定の連作短編ってかっこいいですよね。存在として。



映画ドラえもん のび太の絵世界物語

ひさびさにドラ映画をスクリーンで観てきました。

絵を描く人にはわかってもらえるかもしれないけど、絵をテーマにした話って逆に観るの腰重いな…みたいなのありません?ありました。

でも評判が良かったので振り切って観たら、すごくよかったです。

OPの映像も最高でした。すごすぎ!あそこだけ10回みたいよー

 

 

 

『バード 砂漠の勝負師』

ようやく読みました。すごい。宿敵の「蛇」が怖い!

個人的にフィクションでいちばんおっかない男は『ノーカントリー』の アントン・シガーなのですが、それに迫るインパクトでした。キャー

 

 

『塊魂 rolling live』

塊魂の新作!新作が出るだけで嬉しいんです

塊魂はシリーズ通してボーカル入りの曲がいっぱい入っており、もはやプレイできる音楽アルバムという側面すらあります。

改めて、初代の時点で楽曲含めてこのゲームデザインが完成していたことに驚きますね。とんでもないよー

 

 

 あとマサラダさんの新曲も聴けてよかったです。嬉しい!

生きてるだけでいいものが増え続けてるすごい世界なので、死ねないですよね。

でもあわよくば、世界あと3つくらいあったら楽しいのに。

世界地図とか、産まれてこの方何回みても何回みてもずーっと同じなのでちょっと飽きません? 

3種類くらいあれよ、とは思います。

神はじめに言った「3種類あれ」

 

 

 

 

あとよく考えることなんだけど、太陽を挟んで公転軌道の正反対に別の「裏地球」がもう一つ浮いてたら、なかなか気付けない気がする。


 

こんなかんじ。

ずーっとお互いに太陽の裏に隠れてるので、見ることができない。

それで、宇宙開発できるレベルになってから初めて互いの存在に気がつくという。

もちろん大陸の形も違うし、生態系とかも別の進化を辿っていて…

そんでロケットで行き来できるようになってから、互いの星どうしで侵略的外来生物が持ち込まれたーとかでモメて…

うーん、やっぱりなかなかおもしろい。 夢が広がりますね。

 

 


あ、そういえば6/1のコミティアにでるので漫画をなんか用意してます。

いけるか? わかんないけどがんばらせてください。がんばります

来れる人はあいましょう

 

ではまた6月


おしまい